第14話ーTetraDecaー

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「罪のない人まで巻き込む気か?」 ビリ… 常の温厚なノアからは考えられない冷たい眼差しは、少年を少しばかり威嚇した。 少年の黙秘を肯定と受け取り、ノアは静かに額に青筋を伸ばした。 「あまり僕を怒らせるな。これ以上暴れるのなら、僕は君を本気で潰す。」 「うぉ…おい龍成、ノアのやつマジギレじゃね?」 「俺らが高校ん時ラーメン食い逃げした時以来のキレ具合だな。」 「こんな時に、何を思い出話に浸ってんのよ!」 そのラーメン屋が聖龍ラーメンという情報は、当事者しか知らない。 「ククク…」 少年は不敵に笑っていた、昼間で日も差しているが、不気味でしょうがない。 「なぁ【神童】、こんなクソ共を守ってなんの意味がある?」 「……何?」 唐突な問い掛けに、ノアは少しだけ身構えるているのを緩める。 「俺は知ったんだ、【世界の真実】を。そしてそれを知ったと同時に俺は虫酸が走ったよ…」 ゴゥ… 魔力の漏洩により強い風が頬を叩く。少年は憤怒や激昂といった激しい表情を見せた。 「血反吐を吐いて倒れた名も知らぬ者の犠牲の上に、ヤツらはのうのうと生きてる…そんな世界、おかしいだろ? …だから、俺はこの世界を一度壊す。そして、一から蘇生する。 怒りも、憎しみも、争いも、血も流れない平和な世界を俺が創る。」 「何をワケ分かんねぇ事を…」 「お前も知ってるだろう【龍神】?政府側にはいつも、‘‘裏切り者”がいる。それを忘れたワケじゃないだろう?」 「…………。」 少年の言葉に、何故か口を閉ざしてしまった。
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