第14話ーTetraDecaー

8/34
前へ
/423ページ
次へ
崩れ落ちた街壁。だが、そこに少年の姿はなかった。 「【裂空破】。」 ゴォッ…! エレンの耳後から、生温く聞こえて来た詠唱。次の瞬間にはエレンは吹き飛ばされ壁に叩きつけられた。 「きゃっ…!」 ドガァッ! 「エレン!!」 カイは再び足を回転させて少年を襲う。今回は最重要警戒という事か、【獣人化】していた。 いつも咥えている飴を、その辺に捨て去る。 「手加減無用のトップギアだ、死ぬなよ?」 「獣人族…【虎】か、厄介だな。」 金の瞳は猫科特有の瞳へと変わり、頬は少し毛が伸び、手足の爪は鋭角化、歯並びは荒々しく獣のような牙へと変貌した。 挨拶代わりの右ストレート。少年は難なく避けるが、これで終わる筈がなかった。 「カハ!」 素早く右手を引いて、身体の左側面を少年に向け、左ジャブ。 シュボッ…ガッ! 右前腕で防ぎ、今度は少年の右足蹴りが走るが、カイも流石の身のこなし。左から来た蹴りを左斜めに沈む事で回避した。 「グルルルァ!!」 獣じみた怒号で地を蹴り、鋭い爪を掻き立てて振るった。 シパッ。 「っ……!」 僅かに避けられた。頬を浅く走った赤い線は、ポタポタと地に落ちる。 「【爆轟】《ばくごう》。」 「っ……!?」 (いきなり炎系上級魔法!?予備動作無かっただろ…!!) ボボボボボォンッ! 発動すると、街を破壊しながら爆炎の道がカイを襲った。 「くっそ……」 ドゴォッ!!
/423ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2642人が本棚に入れています
本棚に追加