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ブォッ!
「ちっ!」
「カハ!そろそろテメェの顔、見せて貰おうかぁ?」
唸りを上げる豪爪は少年のフードを引き裂いた。
露わになる顔、やはりニット帽だけでは完全に隠し切れなかった。
「その若さでこの強さ…君は、何者だい?」
「見た事ねぇツラだな、どっかの国から逃げて来たか?」
「カハハ、でもそれなら俺とノアは知ってる筈だが?」
上杉、ノア、カイはやはり素知らぬ顔。
だが、エレンは違った。
「何で…アンタが…!?」
ガタガタと足は震え、肩は強張り引き上がる、両の瞳は恐怖や欺瞞、驚愕が渦巻いていた。
「おい、エレン!しっかりしろ!顔見知りかよ!?」
「ぁ…!あぁ…!嘘、だ、ぁ!!」
「カイ!エレンを離せ!今のエレンはまともに戦えない!」
「分かった!」
ワケが分からないと言った表情。だがそれでも、この少年がエレンの心の何かを握っている事はこの様子から変わりない。
「何だよ、少し懐かしかったのによ…」
まるでおもちゃを取り上げられた子供のように、少年はニヘラと笑った。
「テメェ…」
上杉は歯を軋ませる。
ダカァッ!
「エレンに、何をしたぁっ!?」
白と黒。二対の刀剣は禍々しく魔力を帯びる。
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