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ガキャッ!
激しくぶつかり合う剣同士、ギチギチと鬩ぎ合う。
「お前、何者だ…名前を名乗れ。」
「名前なんざ、とうの昔に捨てた。」
膠着状態の二人に、ノアがエクスカリバーを振るう。
「龍成、伏せろ!」
「「!!」」
黄金の大剣に光を眩く張り付かせる。
「【金爛の剣閃】!!《ルーメン・ブレード》」
キュイオォウンッ!!
思わず目を細めてしまう程に壮大な光の斬撃は、街々を豪快に破壊しながら少年を襲った。
「くっ…!」
ドギャギャギャギャァッ!!
荒々しく地面は抉り散った。
「ちっ…流石に‘‘常態”でお前らを相手するのは厳しいな。」
少年は少し悔しそうにニット帽を深く被り直す。
「エレンは退避させたぜ!」
「カイ、すまない。」
「観念しろ、クソガキ!」
三人に追い詰められた。やはりあの若さで、バルクリンを相手取るのは無謀だったようだ。
「お前らとは、またどこかで会いそうだ。潮時だ、じゃあな。」
「…は?」
唐突な別れの言葉。冷めたのか、少年は背を向けた。
シュンッ!
まるでその場から消えてなくなったかのように少年は消え去った。魔力感知でさえ分からない程に遠くに行ってしまったようだ。
残された三人は、荒れ果ててしまったホテル街の一角に立ち竦むしかなかった。
「何者だったんだよ、アイツ…」
「けっ!胸糞悪ぃなぁ。」
「理事長には報告しておかないとな、ヤツは恐らくかなり危険だ、それに…本気を出していなかった。」
ノアは、少しだけ戦慄した。あの若さで自分達相手に、‘‘力を抜く”余裕があったのだから。
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