第10話

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当時、私は「代理母」という話題よりも、私とほとんど変わらない年齢でのガン発症と、それに伴う子宮摘出の方が強く印象に残りました。 かわいそう、大変だね、 というおざなりの言葉でしか表現できませんが、気にする一方で、やはり自分とはどこか違う世界の人だという思いはありました。 それが自分が不妊治療をするにあたって向井さんの本を読み、そこに綴られる言葉の一つ一つに胸が痛くなりました。 「子供を持ちたい」「家族になりたい」 という強い意志は、私の心を強く揺さぶりました。 あれほどの批判を浴びながらも事実を公表し、書籍を残してくれた向井さんにとても感謝しています。 そして、向井さんの書籍を通じて3つの卵子から双子を授かった事を知りました。 卵子さえ得られれば子供が授かる、と考えていました。 採卵後、1時間ほど休み病院を出ました。 会計は採卵費用と移植費用を合わせて50万円ほどの支払いです。 クレジットカードが使えず現金のみなので、事前に用意しましたが、久々に大金を持ち歩きました。 さぁ、3、4日後にはいよいよ移植です。
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