第1話

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三年間の中学生活を終えて、私は今日から高校生になる。 新品の制服に、いつもより少し頑張った髪型。 学校指定のスクールシューズを履いて、独り暮らしのアパートを出た。 校門を入った所に、クラス割りの発表用紙が貼ってある。今日からは中学時代の友達が全く居ないこの学校で、新しい生活を始める。そんな事を思いながら、嬉々とした表情で用紙を見る。 ――あった。 1-B。如月 弥生。 自分の名前に見とれている間に、後ろから来る人に押されて、いつの間にか目の前にクラス割り用紙があった。 「っ…すいま、っ…」 どうにか脱出を試みるも、あまり背の高くない私はどんどん人に埋もれていく。 そんな時。 「大丈夫か」 声をかけてきたのは20代位の男性だった。ぐい、と手を引かれ、どうにか人混みから脱出できた。 「あっ、ありがとうございますっ、」 戸惑いながらもお礼を言うと、男性は無表情で言った。 「いや、礼はいい。でも気を付けろ、女なんだからな」 黒い目を此方に向けて言う男性に、少し憧れをおぼえた。 「じゃ、」 背を向けて去っていく男性は、妙に格好よくて、少し胸が早まった。 (、教室行かないと) そう思い私が足を踏み出した瞬間に、予鈴が鳴った。 あの人は、誰なんだろうか。
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