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……イタリアン、好きなんだ。
私も、何となくそんな気はしてたけど。
部長の本心が読めない微笑みとすべてを見透かしたような瞳が頭に浮かぶ。
それをかき消すように首を振って、バッグを手にする。
いつの間にか、私たち2人以外居なくなっていた。
「お先、失礼します」
「気をつけてね」
微笑みながら言う。
……調子狂う。
あの男には、近付いちゃいけない…。
本能のようなものがそう告げる。
信号は完全に赤だ。
けれど、ふと思った。
彼に近付きたい、と。
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