第1話

17/36
前へ
/36ページ
次へ
彼の顔を見て話すには、自然と上目遣いになってしまうのが悔しい。 「……なんですか」 もう一度、部長の目を見て聞く。 すると、少し焦ったような顔をしていた彼は、なぜか照れたように目を逸らした後、柔らかい笑みを浮かべた。 「あ…いや、もう遅いから、送っていくよ」 電車でしょ、小野寺さん、そう付け足して、車の鍵を見せる。 ……どうしてそんなこと知ってるんだろう。 ふと頭を掠めた疑問は、面倒なことになりそうなので口にはしないことにした。 「…いえ、悪いですから」 .
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加