第1話

24/36
前へ
/36ページ
次へ
部長は鍵を開けると、助手席のドアを開け、乗り込むように促す。 ……紳士的…だけど、限りなく胡散臭い…。 無駄に爽やかな笑顔がムカつく…。 「さ、乗って」 その言葉には何も返さず助手席に乗り込むと、部長はドアを閉め、自分も運転席に乗り込んだ。 ……妙に機嫌がいい。 楽しそうだし。 「無駄に嬉しそうですね」 部長の方を見ずに愛想なく言う。 「小野寺さんを助手席に乗せられるなんて嬉しいよ」 顔を見なくとも、部長が楽しそうに笑っているのはその声からわかる。 さっきから、どうしてこの男はそんなことをさらっと言うんだろう。 「だからセクハラです」 ……というか、さすがベンツ。 座り心地最高。 .
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加