動始歯車

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無法地帯となり、廃墟と化した街中。 そこでは激しい戦闘が行われた形跡があり、付近には幾つもの死体が転がっている。 そんな中、未成年の男女が2人いた。 男は苦しむ女を抱き抱え、泣いている。 その女の腹部には、銃弾サイズの穴があり、それは貫通して背中まで続いている。 そして1リットル以上もの血が流れ、赤い水溜まりが出来ている。 どう見ても致命傷。 今から手当てしたところで彼女は助からないだろう。 そんな彼女は、泣いている彼の頬に手を当てる。 「もう……泣かないでよ……。情けないわね」 「だってお前……」 彼は、命の灯火が消えかけている彼女を、ただ見ている事しかできない。 彼には彼女の怪我を治す“力”がないから。
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