動始歯車

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「出来た……出来ましたよ!兄さん!」 喜びのあまり俺に抱き付く佐奈の頭を撫でる。 「よくやったな。おめでと」 1年で入学した初日で壁を破壊出来たのは数えられる程しかいない。 だから今ぐらい甘やかしてもいいだろう。 すると和也が不服そうな顔をしながら近づいてきた。 「なんか納得出来ないけど……おめでと、佐奈ちゃん」 「ありがとうございます。出来たのは兄さんのおかげです。あと和也さん。ああなりたくなかったら邪魔しないでくださいね」 笑顔で殺人宣言する妹。 どうしてこうなったのだろうか。 「あ、あはは……」 和也が乾いた笑いをしてやり過ごそうとするが、佐奈に睨まれ、逃げた。
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