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「……ねぇ」
最後の力を振り絞り、彼女は彼に最後の言葉を告げた。
「私……性格悪いのに……一緒にいてくれてありがとう」
「おい……今そんな事言ってどうすんだよ……。そんなの帰ったらいくらでも聞いてやるから」
「うぅん。言わせて……今しか言えない気がするから」
自分の命を削りながらも、彼女は続けた。
「今まで……素直になれなかった……。でも今なら言える……。大好きだよ、刹那」
想いを告げ、彼の名を呼んだ瞬間、彼女の手は彼の頬から離れた。
その手は重力に従い、地面にぶつかる。
「おい……なあ……起きてくれよ……」
幾度も彼女に呼び掛けるが、返ってくるのは静寂のみ。
少しして、彼は狂ったかのように泣き叫び、壊れた。
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