396人が本棚に入れています
本棚に追加
/618ページ
やっぱり君は、下を見ているよりも前を見ている方が凛として格好良いよ。
決して言葉にしないその思いは、俺の胸を高鳴らせた。
「解決したようなら俺はもう行くよ。妹をこれ以上待たせる訳にはいかないから」
「そう……」
少し暗くなる涼華は、多分俺の話を聞いていなかったんだ。
俺は涼華にとって初めての友達だから。
次、いつ会えるかわからなければ不安になるのも仕方ない。
「じゃあまた明日、学校で」
「え?」
今の反応から察するに、やはり俺の話を聞いていなかったんだろうが、サプライズってことで黙っておこう。
俺は涼華の別れの言葉を待たずにその場を去った。
漸く……漸く俺の中で止まり続けていた歯車が動き始めた。
最初のコメントを投稿しよう!