動始歯車

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「忘れ物はありませんね?」 「大丈夫だって。初日なんて教科書配って軽くテストするだけなんだから。持ってくもんなんてないに等しい」 「それもそうですね」 佐奈は俺の腕を掴み、まるで恋人のようにくっつく。 少し歩き辛いけど、もう慣れた。 佐奈は俺と2人で出掛けるといつもこのようにして俺にくっつく。 まあ、義理とはいえ2人っきりの家族だからな。 大切にしないと。 俺は嫌がる素振りを見せずに、歩いた。 「そう言えば兄さん」 「んー?」 「テストはどのような事をするんですか?」 「そうだな……。力の測定から体力測定とかもやるはず」 「体力測定ですか……」 うつ向き、明らかにやる気をなくした佐奈。 無理もない、佐奈は運動ダメダメだからな。
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