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「涼華さん。あなたは兄さんと知り合いのようでしたが、どこでお会いに?」
私は不自然にならないように涼華さんに兄さんとの関係を尋ねた。
「小さい時に家の近くの公園で一緒に遊んだことがあるだけよ」
小さい時に公園で……。
前に兄さんから聞いたことがある。
公園で遊んでいた同い年の女の子の話。
「じゃああなたが……」
兄さんの初恋の人、と口にする前にそれを紡ぐ。
「涼華さん。あなたにはまだ兄さんを渡せません」
「え?い、いらないわよ!」
ムキになるあたり、満更でもないようですね。
ですが、あなたをまだ兄さんの心の拠り所にするには早すぎる。
兄さんがいつか私を必要としなくなるその日まで、私は兄さんの傍にいますから。
私は兄さんの顔を眺め、ゆっくりと額にキスした。
ですが、覚悟と想いは別ですからね、兄さん。
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