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「佐奈。あまりからかうなよ」
不意に下から声がした。
「申し訳ありません、兄さん。少し遊んでしまいました」
「みんな真に受けるタイプなんだから」
「そうですね。ですが、だからこそ、からかい甲斐があるんですよ」
「そうだな」
そう呟いて兄さんは目を閉じる。
最近は悪夢でも見ているのか、うなされている事が多いので疲れているのでしょう。
私は無造作に伸びてはいるものの、サラサラしている兄さんの髪の上から頭を撫でる。
私は兄さんの傍にいる事しか出来ません。
ですから、私にはこんな些細な事でしか兄さんを支えられない。
そんな自分に苛つきを覚えてしまう。
その時、不意に手に温もりを感じた。
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