謎の女

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「遅かったわね」 女は柔らかく艶っぽい声を発した。 「うん。二次会の席で……いや、そうじゃなくて……誰だい、君は?」 「あたし、翠川エイミーよ」 「みどりかわエイミー? 知らないな。部屋を間違えたんじゃないか?」 「少しの間、ここへ居させて欲しいの」 女は青い瞳で見つめている。 「なぜ?」 「良さそうな人だから」 「良さそうなって……」 女は笑顔になっている。その笑顔と彼女の肢体は魅力的だった。 「お願いします」 彼女は正座して深々と頭を下げた。日本人ではないらしいが流暢な日本語だ。 「いや、だから……なぜ、そうしたいのかを」 「お金ならあります」 「いや、だからね。お金を貰うとかじゃなくてさ。まあ、いいか。うん、いいよ。美人だね、君は。事情は後で聞くよ」 悠太はコートを脱いだ。 「よかった……」 エイミーは立って悠太に近寄り、コートをつかんでクロゼットを開けた。 そんな気遣いが出来るところをみると、彼女は日本で育ったのだと分かる。
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