16人が本棚に入れています
本棚に追加
「遅かったわね」
女は柔らかく艶っぽい声を発した。
「うん。二次会の席で……いや、そうじゃなくて……誰だい、君は?」
「あたし、翠川エイミーよ」
「みどりかわエイミー? 知らないな。部屋を間違えたんじゃないか?」
「少しの間、ここへ居させて欲しいの」
女は青い瞳で見つめている。
「なぜ?」
「良さそうな人だから」
「良さそうなって……」
女は笑顔になっている。その笑顔と彼女の肢体は魅力的だった。
「お願いします」
彼女は正座して深々と頭を下げた。日本人ではないらしいが流暢な日本語だ。
「いや、だから……なぜ、そうしたいのかを」
「お金ならあります」
「いや、だからね。お金を貰うとかじゃなくてさ。まあ、いいか。うん、いいよ。美人だね、君は。事情は後で聞くよ」
悠太はコートを脱いだ。
「よかった……」
エイミーは立って悠太に近寄り、コートをつかんでクロゼットを開けた。
そんな気遣いが出来るところをみると、彼女は日本で育ったのだと分かる。
最初のコメントを投稿しよう!