謎の女

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「上着も」 エイミーは振り返って両手を差しのべた。 「んっ? ああ、そうか。そうだね」 悠太が上着を脱ぎ、それを手渡した時、バチッと音を立てて電気が走った。 「うわっ!」 「きゃっ!」 二人の手先から静電気が放電されたのだ。 エイミーは目を丸くしている。 「だいじょうぶ?」 悠太が気遣って声をかけた。 「ええ。ちょっと、びっくりしただけ」 二人は顔を見合わせて笑顔になった。 「この部屋は静電気が溜まりやすいんだ」 「そうなの? 空気が乾燥してるからじゃなくて?」 「うん。それもそうだけど、このカーペットがね。化学繊維の安物だから帯電しやすいんだ」 壁の時計は朝の4時を示していた。
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