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雪美館の旧娼家をそのまま使用している茶屋は、今の娼家の造りとまったく変わらない。
廊下を挟んだ両隣に六畳間が並んでいる。
但し、こちらはひどく老朽化が進んでいた。
土を塗り込めた壁はところどころが剥げ落ちており、廊下は歩くたびに軋んだ。
「おい、耳を掻いてくれ」
「はいはい、ただいま」
都季は声のした方に顔を向けた。
襖が開け放たれた向かいの間に、女の膝枕で寝そべった男がいる。
娼家では考えられなかったことだが、遊興の場として使用されている茶屋の一階の襖は、どこもかしこも開けたままなのだ。
閉まっているときは、十中八九、同衾していると考えてよい。
嬉戯とした男は、女の襟に手を差し込み乳房を揉んだ。慣れているのか、女はさほど気にしていない様子である。
「もう何してるのよ。奥に当たっても知らないわよ」
「いててて。もう当たってる。当たってるって!勘弁してくれ」
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