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「なるほど――。
しかし、まあ見事に足並みの揃った金額だな。五百両ばかりではないか。五商団しか選べぬのに、この中から如何にして選ぶのだ」
「それは存じ上げませんが、皆様の額が同じとなると、やはり入札の条件を参考にされるのでは」
「ふむ。とどのつまりは入札か――。
しかし、あんたは余程有能らしいな。裏金まで勘定するとは、領府様の収入を誤魔化しているのもあんただろう」
書記は何も答えなかったが、否定の目ではない。
「どうだ。俺のところで働かんか。
書記は一人いるが頭のかたい奴でな、裏金の話は出来んのだ」
「お誘いしてくださるのは有り難いのですが、ここから離れるつもりはございませんので」
「そうか。ならば仕方ないな。
まあ気が変わったらいつでも声をかけてくれ。じゃあな」
偉進が颯爽と立ち去りかけたときである。
書記が偉進を呼び止めた。
「お待ちを」
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