第13話

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「言われずとも分かっています」 また馬鹿にされた気がして、都季は額の汗をぬぐうと火おこしを再開した。 しかし、その動きはもはや無責任である。 「あんた、火をおこしたことがないのか」 偉進が都季の顔を覗きこんだ。 表現が豊か、と言えばよく聞こえるが、目をむき出した顔は大袈裟すぎる。悪く言えば、わざとらしい。 都季は目の端で偉進を睨むと、ふくれた顔のまま団扇を扇いだ。 「シンさんはあるのですか」 「あるに決まってるだろう。 薬商をやってるんだ。たまに薬を煎じるからな」 どれ、と発した偉進が、都季に場所の交代を手で告げた。 手本を見せてやる、ということであろう。 都季はしゃがんだまま場所をゆずった。 「薬を煎じる? 大店の跡継ぎなんて可愛がられて育つでしょうに、それは騙されませんよ」
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