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「そうだな。俺も毎日付き合ってやる訳にはいかんから、それがいいだろう」
遊廓まで肩を並べて歩いた。
大門の前で足を止めると、通行人を調べる役人が都季を見た。
どうやら数刻前に出たのを覚えていたらしい。若い娘が木札の許可証を所持しているのは珍しいからであろう。立ちっぱなしの役人は、机で帳面を広げている役人に都季の戻りを告げしらせていた。
都季が大門をくぐり、その姿が見えなくなると、どこからか現れた佐吉が偉進の元に寄った。
「領収証は手に入ったか」
佐吉の気配に気付いた偉進が振り返らずに訊いた。
「はい。ここにございますが、金額はこれが限界だと――」
佐吉が懐から取り出したのは、良質の紙である。
仔細には、大門通行許可証とあり、したためられた金額は、天印金十両である。
それを手にした偉進は、「たったこれだけか」と、落胆して見せた。
「二十両と言ったのに――。幼なじみのくせに気がきかん奴だ」
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