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「それはいくら何でも無理でございましょう。五両の支払いで十両と書いてくださったのですから、それだけでも感謝せねば」
「しかし、あと九十両もある。それだけの架空の領収証を作るとなると面倒だな」
偉進はいま、先だって用意させた天印金百両の使途を、書記の小安から追及されていた。
実は、あの百両の使途は、表に出せぬものである。
東町に勝つ対策として偉進が選んだのは、賄賂で宮廷納品権を獲得することであったのだ。
その為、先ずは疎遠となっていた皇家役人の父を訪ねた。
父から、薬店の主となった祝詞をいただいたのち、宮廷納品権の審議に関わる重要人物を教えてほしいと、不躾ながらにも明確に申し出た。仮に父の怒りを買ったとしても、もとより庶子として不遇された偉進には恐れるものはない。
しかし、父は偉進の堂々たる風格を大層気に入り、一つ条件を飲むならば重要人物を教えてやると言ったのだ。
むろん、偉進は条件を飲んだ。
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