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審議に関わる重要人物は、右府と左府に次ぐ重臣、領府であった。
偉進は天印金百両を持し、ただちに領府の屋敷を訪ねた。
しかしそこで驚いたのは、待機部屋として通された間が、商人でぎっしりと埋まっていたことである。
「皆、賄賂を持ってきたんでしょうか」
と、その有りようを見た佐吉が偉進に小声で訊ねたが、偉進はそれしかなかろうと思った。
思わず失笑がこみあげた。
無駄足かも知れぬという思いで父を訪ねたのに、父はあっけらかんと領府の名を口にしたのだ。審議に関わる重要人物が知られることなど、さほど問題ではないのであろう。要は、賄賂を送っても便宜がはかられるかどうか、というのが最大の難点なのである。
偉進は父の言葉を思い出していた。
「賄賂を贈り、よい返事をいただけねば、入札でいかに有利な条件を提示しようと、五商団にも選ばれぬぞ。それでも行くのか」
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