第14話

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松若旦那が偉進を見て、酷薄に微笑んでいる。 偉進はそれを肌で感じとったが、気付かぬ振りをして東屋に目を向けた。 「五位、北中町商」 「四位、北町商」 「三位、西下町商」 あちこちで歓喜の声と嘆息が上がっている。 「二位、中町商」 本町の団長らが怪訝な顔をした。 松若旦那は、やはりと言わんばかりに目を瞑り、笑いを堪えている。 「一位、本町商」 年配の皇家役人が通牒を閉じると、「やったぞぉおお!」と、偉進が拳を掲げて叫んだ。 松若旦那は訳が分からない。 「お待ちください。何かの間違いではございませんか」 「我等は東町です。歴代の実績もございます。先日も上等の白檀を――」 東町商の集団は皇家役人に詰め寄ったが、その答えは 「吟味したうえでの結果である」 という冷たい返答であった。
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