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しかして、この結果にいちばん疑念を抱いたのが、一部始終を見ていた領議の書記である。
書記は偉進の顔を覚えていた。
天地がひるがえろうと、偉進が所属する商団の獲得は無いと思っていた。
しかし今、偉進は双拳を天に突き立て、歓喜の声をあげている。
書記は背負っていた袋を降ろし、名簿を出した。
確かに壱百両と記されていた筈――。
そんな思いで名簿をくり、ようやく目当ての項を見つけたとき、思わず己の浅さに笑いが込み上げた。
“東町商 壱百両”
書記は、記入された文字を疑いもせず領議に見せたのだ。
かような単純な手に騙されたというのに、久々に笑ったからか、不思議と爽快感があった。
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