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南の間は、客と商人の笑声で賑わっている。
祝詞の訪れが一先ず止むと、偉進は銀の箸を掴み、蒸した家鴨に胡麻味噌を塗ったものを口に入れた。
胡麻味噌には、細かく砕かれた巴旦杏(はたんきょう)が混ぜられており、これは料理長自慢の一品である。
「東町は二十一商団中、二十一位だ」
「二十一商団中と言うことは――」
「まあ、最下位だな」
あたかも、さも当然、というように、偉進は家鴨を次々と口に詰めている。
どうやら好みに合うらしい。
上品さの欠片もない――。
都季は呆れつつも、下座に目をやった。
末端の席で、毬子と松若旦那が口論している。声をひそめているが、仲違いしているのは一目瞭然である。
「都季」
偉進が箸を置いた。
「そろそろ披露してくれ」
呟いた口の端が笑んでいる。
座敷舞のことだと都季は直ぐに察した。
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