第14話

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牌楼をくぐると、若い官吏が出迎えた。 その者の案内で庭へと向かうと、一段高くなった東屋に、年配の官吏が立っていた。 他の商団は早くから東屋の前で待機していたらしく、朝の寒さに体を震わせている者が大勢いる。 「旦那様」 佐吉が偉進の耳元で囁いた。 「どうした」 「あちらをご覧ください」 目で方角を告げている。 偉進が首を回すと、敷地を囲んだ塀の前に領議の書記が一人で立っていた。 「発表を見に来たんだろう。暇な奴だな」 書記と目が合うと、偉進はあからさまに目を逸らした。 「商団はこれで揃ったか」 年配の官吏が問うた。 「揃いました」 年若の官吏が目礼した。 「では納品独占権を与える商団を発表する」
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