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「な、なあ……?家庭教師のバイトは初めてだからよく解らないけど、これって破格の条件じゃないのか……?」
「!?」
……あ、今身体が跳ねるように硬直したぞ……杏さん分かりやすい。
杏さんは情に脆いのか知らないけど、僕に色々とよくしてくれている。
杏さんからのバイトの件がなければ、親の残したお金で食いつぶしていくしかない僕と美空姉さんは今よりも、もっと質素な暮らしをしていたに違いない。
こうして考えれば、この好条件なバイトも僕の家庭状況のために用意してくれたのだと思えば納得がいく。
「いいのか?引き受けても」
「は、はい……お願いしているのは私の方ですし……」
杏さんは優しいな。
将来、しょうもない男に引っかからないといいけど。
「ああ、喜んで引き受けるよ……ありがとう杏さん」
「いえいえっ!?お礼言うのは私の方です!その……ありがとうございます……よろしくお願いします」
杏さんは最初、顔を真っ赤にして慌てたように手を振るが、最後はペコリと恥ずかしそうに頭を下げた。
その際に制服の中から見えた胸の谷間がなんとも嬉──目の毒だったが。
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