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急いで階段を下まで降りる。
そして、男たちが入っていった路地に向う。
人一人がやっと入れるくらいのスペースで、真っ暗だ。
体を横にし、路地に入る。
(一体こんな所に入って何を…。)
心の中で考えながら進んでいると分かれ道に差し掛かる。
男たちがどっちに行ったのかはもちろん分からない。
どっちにするか迷っていた時、右の方向から女性の悲鳴が聞こえた。
(絶対にマズイことになっている!)
右方向の路地に入り、悲鳴がした方向に向かう。
ジュリウスがやっと辿り着いた時には辺りに赤いドロッとした液体が飛び散っているだけで、女性の姿は見当たらない。
「ま、まさか…血?」
急に吐き気に襲われる。
確かにこの赤いドロッとした液体は“血”だ。
恐らく悲鳴を上げた女性の血だ。
初めてこんなグロテスクな光景を見る。
後ろから男たちの会話が聞こえてくる。
「おいおい…どうするんだよこれ。」
「どうするたってよ…何とかして証拠を。」
うずくまって口を押さえている少年が目に入る。
自分たちのしたことが見られてしまったと焦る。
「ヤバイぞ!」
「いや…待て。」
二人の男が焦る中でもう一人の男が冷静に対応を考えた。
それは目撃者を殺すというありきたりの方法だ。
ナイフを構え、少年に近づいていく。
いきなり少年が立ち上がり、男たちの方向に体を向ける。
顔は下がったままだ。
微かに聞き取れるぐらいの小さな声で質問する。
「何故…こんなことを。」
突然の質問に驚いた男が足を止める。
二人もビクッと体が反応する。
「何故ってか。あの女は薬物依存症でね。今日も欲しいって言うからここに来たんだが、金がないって言い出すからよ~。」
ナイフを見つめながら少年にここに達までの説明をする。
二人は黙って少年を見つめている。
念の為、後ろのポケットに入れている拳銃に手を添えている。
「金がなきゃ商品は買えないだろ?」
「…だから殺したのか?」
「いやいや。商品の変わりに遊ばしてくれって言ったらよ~警察を呼ぶって言い出してさ。」
不気味に笑いながら話しを続ける。
「強引にヤっても楽しくないから殺した!!」
これが人間の醜さであると実感する。
欲望に従い、欲望のままに生きる。
動物より醜い存在だ。
そう思うと怒りが込み上げてくる。
「お前らは何とも思わないのか?人を殺したんだぞ!?」
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