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「お前たちがぶつからなければ…。」
「はぁ?だから謝るって…。」
もう一人のチャラい男が話しを遮るようにいきなり手を目の前に伸ばした。
首の骨をボキボキ鳴らしながらジュリウスにゆっくりと近づく。
一歩づつゆっくりと。
「あのさ、男のクセにグチグチうざいんだよ!お前たちはさ出来損ないが集まるリトクリーヴ学校の学生だろ?」
ジュリウスと隣にいる少女の制服を見ながら言う。
二人は応えることなく黙っている。
「オレたちはお前らよりましな学校に通っていてね。Cランクの能力者なんだ。」
目の前で自分の能力を見せる。
近くに落ちていた紙くずを浮かばせる。
彼の能力は“サイコキネシス”だ。
重力を無視して物体を自由自在に浮かばせたり、飛ばしたり、動かしたりできる。
*
― 能力は同一の人もいる。たった一人という訳ではない。
ただ個人差があり、ランクはバラバラである。
中にはその人だけが持つ特殊能力。通称“スペシャル・スキル”がある。
一般的な能力ではない為、出会う確率は少ない。
何故自分一人だけの能力を身に付けることができるのかは解明させていない。
*
― サイコキネシスは一般的である。
二人にとって珍しくも何ともない。
しかし、チャラい男の一人は自慢気にそれを見せつける。
「そんな物を浮かばせるだけの能力が何だ?」
ぶちギレたジュリウスが鋭い目付きで睨みながら呟く。
それを感じとったエリナが離れる。
前に何度かジュリウスがぶちギレ、大変な目にあったからである。
するとチャラい男の一人がアロハシャツの胸ポケットから小型ナイフを取り出す。
それを見た仲間が止めに入る。
「おい!それはマズイって…!」
不気味に微笑みながら小型ナイフを胸ポケットに戻す。
「そうだな。こんなところで殺してしまったら刑務所行きだからな。」
そう言いながら後ろを振り返る。
ふとゴミ箱にあるジュースの空きビンが目に止まる。
「…でもよ。こんな生意気なヤツには教育が必要だよなぁぁぁぁ!!」
サイコキネシスを空きビンに集中させ、素早くジュリウスに向かって飛ばす。
しかし、当たる寸前で床に落下し、無残に割れる。
二人は驚き、言葉を失う。
「今日はさ、ゲームを買って何事もなく帰ってアニメを見るつもりだったのによォ…」
ビンの破片を踏み潰しながらゆっくりと男たちに近づいていく。
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