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チャラい男たちは後ろにゆっくり下がっていく。
「なのにィぬいぐるみにゲーム代を使ってしまうし!変なヤツらにぶつかられて機嫌は悪くなるし!!」
拳を力強く握る。
腕に血管が浮き出る程の力で握っている。
ジュリウスから放たれる凄まじい殺気を肌で感じた男たちの頭から変な汗が流れる。
二人とも心の中で同じことを思った。
こいつはヤバすぎると…。
そしてサイコキネシスの男の顔面を怒りを込めて殴る。
殴られた反動で隅に設置されている自動販売機までぶっ飛ぶ。
気絶したまま立ち上がることはなかった。
店員が騒ぎに気がつき「どうしましたか!?」と言いながら駆け寄って来る。
舌打ちをし、店員に説明する。
「あ~。ジュースを飲み過ぎて倒れたようなので救急車をお願いします。」
「わ、わかりました。」
店員が急いでレジに向かい電話で救急車を呼ぶ。
どう考えてもジュースの飲み過ぎで倒れることなんてないのに。
さらに自動販売機の近くで倒れている姿を一目見れば分かる。
体がピクピクと痙攣し、口から泡を噴いている。
もう一人のチャラい男がジュリウスがよそ見をしている間にその場から静かに立ち去ろうとする。
「おいおい待てよォ!」
チャラい男は恐る恐る振り返る。
だが、ジュリウスは店員の方向を見ていた。
何故違う方向を見ているのに自分が逃げようとしたのがバレたのか不思議だった。
さらに、今だに見えない殺気を放つジュリウスが恐ろしくて仕方がない。
「お前さんには用がある。」
完全に嫌な予感しかしない。
*
― ジュリウスとエリナの二人は寮に帰る途中だ。
二人の部屋は隣り合わせであり、一緒に学校に行ったりもする。
クラスからは一番の仲良しカップルやラブラブカップルと呼ばれている程仲良しである。
だが、付き合っている訳ではない。
「やったやった♪」
欲しかった黒いブルドックのぬいぐるみをスキップしながら抱きしめる。
どうやって手に入れたかと言うと…。
もう一人のチャラい男を捕まえ、そのぬいぐるみが取れるまで帰らせなかったのである。
20,000ギルも使わせた。
さらに男を脅してゲーム代まで頂戴していたのである。
「ゲーム屋さんに寄るんでしょ?」
欲しかった物が手に入り、機嫌がとても良いエリナは笑顔で質問する。
疲れきったのかあまり元気のない返事をする。
「あぁ…。」
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