第1話

8/10
前へ
/10ページ
次へ
「原因は何だ」 「ある一人の少女を原点に村からへ感染病が広まるのじゃ」 「対処方は?」 「詳しくは……」  首を横に振るミトロンを見据え、翼は腕くみしながら銀に視線を向ける。 「お肉が美味しい」 「今関係ないから、それに食べたくないんだけど」  マイペースで話を聞いていない銀に肩をガックリと落とす。 「銀はどう対処する?」  話の本題に混ぜるため問う翼だったが、銀は無表情で首をかしげた。 「銀……せめて話くらいは聞いていてくれよ」  わかったと首を前に倒し、再び黙り込んだ。  そんな様子を横で愉快げに見ていたミトロンは、フトした指摘を翼に投げた。 「主よ、翼よ。掌を返したかのように必死じゃが、どういう風の吹き回しじゃ?」  翼は呆れ顔でミトロンを見据え、当たり前だろ?と言うような口調で答える。 「生き返られるならするに決まってんじゃん」  その言葉に沈黙するミトロンだったが、ハッハッハと笑い声をあげた。  翼の台詞に同意していた銀は、翼同様に眉をしかめることはなかったが、不満げなオーラを放つ。 「そんなに未練があるのか主ら」  その台詞に翼は言いようもない怒りが込み上げ、ミトロンの頭を鷲掴みした。 「お前みたいにぐうたらしてないんだよ! 静観してきたお前にはわからねぇだろうがな!」 「同意。まだ、死にたくなかった」  二人の気迫に動じずミトロンは続ける。 「主、翼は何をしたかったのじゃ? 平凡に過ごし、妹様と比べられていた日を忘れたわけではあるまい?」  鷲掴みしていた翼の手から力がいきなり抜け、自由の身となったミトロンは銀の指差す。 「主、銀の方は生きようが隣り合わせに死しかない末路なのじゃぞ? どこがいいのじゃ?」  死の末路しかないと指摘される銀だったが、言葉の意を汲み取れなかった反応を示す。 「今言うことでもないようだったのじゃ……忘れてくれ」  意味深で言葉を切ったミトロンだったが、すぐにいつもの態度に戻って撮されている映像を指差す。 「この映像から、一週間前後に主らを飛ばす。世界を救ってきてくれ!」 「だから、簡単に言ってくれるじゃねぇかよこのおっさん……」 「期間は?」  銀の質問にミトロンは三本指をたてる。 「3ヶ月? 短いのか長いのかわかんないな」 「いや、3日じゃ」  映し出されていた映像の中心が歪み、二人を吸い込み始める。 「おい、無理難題だろ!?」
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加