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長いトレーナーの袖に隠れていた華奢な手のひらが徹也に手を振った拍子に袖口から現れ、その白く細長い指先を見るとマリアの透き通るように白くて真っ直ぐな脚を思い出し徹也の方が恥ずかしくなってしまった。
あの子昨日のこと、本当に何も思ってないんだ。
せっかく手を振ってくれたのに徹也は自分のやましさがバレたような気がして愛想の欠片もなく目線を逸らし、以後マリアのほうを決して見ず健太と他愛もない会話を続けつつ学校に向かったのだった。
単調でつまらない学校。
ただ呆然とやり過ごすだけの授業、いつもは休み時間に仲間と楽しむサッカーについてのみ思考を巡らせるが、今日は違った。
頭の中はマリアのこと、というかマリアの身体のことでいっぱいだった。
あの子、性の知識とか全然なさそうだから、おっぱい触らせて、とか言っても普通に触らせてくれそう。
なんてマセた頭で考えると徹也の小さい男性器は痛いほどカチカチになり、同時にマリアに対し罪悪感も沸いた。
同級生に対しそんなエッチなことを想像してしまう自分はなんて悪い奴なんだろうと思ったし、もし勃ってるのがバレたら警察に捕まっちゃうんじゃとも思った。
性器と同様にまだ小さく成長途中の徹也の心は揺れ動いていた。
だから放課後、「荒川くん」と無邪気な声に呼び止められた時、徹也は家に帰ってランドセルを置いたらすぐ健太含めたいつものメンバーでグラウンドでサッカーしようと約束したことをすっかり忘れてしまったのはそのためだ。
家路を急ぐたくさんの5年生が賑わう廊下で、マリアは確かに徹也に笑いかけながら近付いてきた。
「昨日はごめんね。お兄ちゃんに怒られちゃった。お風呂入れなくて寒かったんじゃない?」
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