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股間が熱くなっていることに気付いた徹也はようやく女の子から視線を外した。
ふと隣を見れば父親は相変わらず鏡の中、正確には女の子を凝視している。
勃起したってお父さんの場合たいして目立たないからまぁいいとして、お母さんが知ったらどうなるだろう…。
徹也は湯船に入る前にのぼせてしまいそうだった。
「おい、お前先に出てな」
急に若い男がそんなことを言ったのが聞こえたので気になって父親の鏡を見てみると、父親はすでに何事もなかったかのように全然違うところを見ながら歯を磨いていて、その背中を気にしたような顔で若い男がちらりと見ている様子が写っていた。
女の子はえぇ、と言ったきり椅子に腰を下ろし、立ち上がる様子はない。
しかしその瞳は確かに徹也を捉えていた。
こちらを見つめる女の子の顔は一目見て分かるハーフ。
蒼い瞳は徹也から離れない。
徹也は飛び上がりそうになったのを必死で隠して、何も知らぬふりをして頭にシャンプーをつけた。
だって彼女は同じクラスになったことすらないものの、同じ小学校に通う同級生の柳川マリアさんだったから。
同級生の裸を見てしまったという徹也の動揺と、徹也に気付いても別段動揺する様子のないマリアの温度差は性に対する目覚めの違いをよく表していた。
背中ごしに二人の会話が聞こえる。
「だからお前はちゃんと女風呂に入れって言ったんだよ。向こうもお前がいたら気まずいんだからさっさと出とけよ」
「別にあたし恥ずかしくないし。お兄ちゃんと一緒がいい」
「俺が頭おかしいって思われんだろ」
「変なお兄ちゃん!」
マリアは兄の制止を振り切り、一番大きい湯船へ向かった。
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