第1話

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 マリアは隣に浸かる兄に向かって急に 「ねぇ、あの子同じ学年の子なんだよ」 と無邪気に言い出したもんで、思わず徹也の父親すら徹也のほうを向く有り様だった。  マリアの兄は突拍子もないマリアの告白に言葉を失っていたが、消えてしまいたいのは徹也のほうだった。  急いでシャンプーを流し、冷えた身体を温める間もなく立ち上がり小走りで洗い場を出た。  背中に父親の「おい!ケツに泡ついてるぞ」というセリフが聞こえたが構ってる場合ではない。  急いで身体を拭いて服を着た。  もし股間を、綿毛のような陰毛と小さい男性器をマリアに見られて今みたいに無邪気にクラスで発表されたらたまったもんじゃない…  徹也は父親のロッカーから家の鍵を探し出すと、相変わらず暇そうにテレビを眺める番台の前を通って走って家に向かった。  途中3回もくしゃみをした。
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