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マリアを思い出すと股間が熱くなる。むずむずしてたまらなくなり、父親に背中を向けて丸まった。
「明日には風呂直るかな」
徹也の声はすっかり鼻声だ。
「さぁな、とりあえず修理に来てもらわないと…なぁ徹也。あの子たちも給湯器が壊れたんだってさ。金がないからしばらく通うつもりだって言ってたな。明日も銭湯、行くか。ママには内緒だぞ」
振り向かずとも父親のいやらしい笑顔が浮かぶ。徹也は「電気消してよ」とぶっきらぼうに言って頭から布団を被った。
次の朝目が覚めると熱はすっかり下がっていた。
いつも通り父親の作ったウインナーと白米とインスタントみそ汁のみの朝食を平らげ、全校生徒着用義務の黄色い登校帽を首に引っ掛けてリュックを背負い家を出た。
登校班はいつも徹也が一番最後だ。
6年生の班長はマンションのエントランスから徹也が出てきたのを一瞥すると呆れた様子でサッサと先頭切って歩き始めてしまった。
同い年の幼なじみ、健太とサッカーの話をしながらぼつぼつ歩いて学校に向かう。
途中、神次町の坂道から学校に向かう登校班と鉢合わせになった。
その中にマリアの姿を見つけた時、徹也の胸はドキンと鳴った。
今までは変わった感じの同級生、って認識しかなかったのに、昨日銭湯で鉢合わせてから徹也の心はまるでマリアに支配されているようだった。
初めて生で異性の裸を見たからだろう、と冷静に分析しつつも、今まで意識したこともなかったマリアの、初めて垣間見た美しさに心を奪われてしまったのだ。
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