二人

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side.花 コトリ 目の前に置かれたカップ 白地に小さな青バラが描かれているそのカップは私のお気に入り。 いつの間に知られたのか、気がついたら毎回このカップが出されるようになった。 フワフワと白い湯気をたてるそのカップを両手で包み込むと フーフー 少し冷まして一口含む。 「……あま」 口の中に広がる甘さ。 甘いのは、そんなに得意じゃない。 じゃあなんでこれを頼むんだって言われるとうまく答えられないけれど…… なんだろう。 甘くて、苦手だけど。 ここに来ると決まって飲みたくなってしまう。 あぁ、甘い甘い。 夕方 角席のここは私の特等席 いつも空いているから、案内される前にさっさと座ってしまう。 外から内が見えづらく、けれど内から外は見える。 時間を潰すにはちょうどいいこの席。 私のお気に入り。
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