二人

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寒いからか、外を歩く人たちの歩みが早い。 道行くカップルはここぞとばかりにくっついて暖をとっている。 あぁ、甘い甘い。 胸焼けだ。 「花ちゃん、羨ましいの?」 「……まさか」 本気でそう思われていたら最悪だ。 表情で分かったのだろう。 クスクスと笑うその人。 「だよね、花ちゃんだし」 なんかその言い方失礼だな。 一応、花も恥じらう15歳なのだけれど。 まぁ、興味ないからいいけど。 店員のくせに私の隣に腰かけてくるその人。 フワリと香る甘い香りはきっと、私の好きな、そして苦手なキャラメルカプチーノ。 喫茶店なのに、なんでそういうのがあるのかって? そんなのは私に聞かないで。 私はただの常連客だもの。
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