家族

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「よし」 全部飲んだ。 弓弦を膝の上にのせて背中をさする。 あー、ヤバイ。 寝るな寝るな。 「ゲプ」 「出た出た。よーし、弓弦ねんねしていいぞー」 「ふにゃ、」 弱々しい泣き声をあげて、すぐにスースーと寝息をたてる。 愛しい 世界にこんなにも愛しい存在がいるということは きっと奇跡なのだろう。 俺にはそんな愛しい存在が二人もいる。 これを奇跡と呼ばずになんと呼ぶのか。 小さな手を人差し指で突っつけば きゅうっと 小さな手が、しっかりと 俺の指をつかむ 愛しい それ以上の気持ちを抱いているのに、ふさわしい言葉が浮かばない。 このふにゃっとして、柔らかくて 守っていくべきこの子を 愛しい以上の言葉があればいいのに。
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