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両の掌を温めるように再びカップを手に取る。
フーフー
まだ温かいキャラメルカプチーノは、猫舌の私には熱すぎる。
コクり
あぁ、やっぱり
「……あま」
「花ちゃん」
横を向けば、掠めるように奪われる唇。
さらりと揺れる茶色い髪
長い睫毛の一本一本まで見える距離
男のくせに、なんでこんなに肌が綺麗なんだろう
嫌味か。
無駄に通った鼻筋とか
丁寧に整えられた眉毛まで見えてしまう
男のくせに、私よりスキンケアしてるのだろうか。
ちゅっと、わざと音をたてて離れた唇。
わざとと分かるのは、目の前の人が笑っているから。
「花ちゃん今日はドリアの気分でしょう?」
「……はい」
「サラダ、サービスしてあげる。
トマト好きだもんね」
「……ありがとうございます」
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