いらっしゃいませ

2/12
385人が本棚に入れています
本棚に追加
/327ページ
side.花 「きゃぁっ」 うっわ、ゲリラ豪雨。 くっそ。 駅前のカフェで勉強するつもりだったのに。 手に持った鞄を抱え込むようにして、どうにか濡らさないようにする。 どうしよう。 駅前までは間に合わない。 「おーい、お嬢さん」 「わっ」 声をかけられて慌てて止まる。 お嬢さんって、私? キョロキョロと辺りを見渡せば、おじさんが一人。 こいこいと手招きされるまま、そちらへ近づいていく。 そこには、アンティーク調の看板。 『喫茶夢幻』……? 喫茶店かな。 「あの……」 「ずぶ濡れだなー ちょっとうちで休んできなよ」 お店……だよね。 だったら怪しくないよね?
/327ページ

最初のコメントを投稿しよう!