第6話

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確かに自分に構ってる時間はない。 ここの所は夜寝れるようになって、 随分と目の下のクマは無くなってきているようだけど、 遙人と過ごしたときのような肌の艶はない。 髪の毛だってもう何ヶ月もサロンに行ってなくて、 ひとつに束ねたまま、 それで終わり。 おばさん臭い。 自分でもそう想う。 「人生のさ… キラキラしてる感じの物語だったりするでしょ? 澪ちゃんのって。 そんなんじゃダメだよ。 もっと、澪ちゃん自身もキラキラしてなきゃ。 ねえ、 これから、 ちょっと行かない? 私がのんちゃん抱っこしてるからさ、 キレイになろうよ。」 スマホをポケットから取り出して、どこかに掛けてる。 「前田ですー。 今から時間有る? お願いしたい子が居るんだけど。」 なんて言ってる。 なんのこと? ポカンとしてたら、 「OKだって。 私が行ってるサロン。 エステでもあるし、 リラクゼーションでもあるし、 ネイルもヘアーも… トータルサロン。 9時までだけど、 今からだったらいいって。 最後のお客がもうすぐ終わるからって。」 時計をみるともう7時を過ぎてる。 エステなんて行ったことないし、 なんだか… 勿体ない気がして。 「何悩んでるのよ、 これは設備投資みたなものよ? 澪ちゃんが魅力的じゃないと、 いいものもよく見えないんだから。」 強引に部屋から連れて出される。 このくらい強引じゃないと、 私は自分から動けないかもしれないのだけれど。
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