第6話

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希の飲み物とおもちゃと絵本をマザーバックに入れて、 出掛けた。 洋子さんの車に乗って。 私も車、欲しいな… 海翔が時々うちに来るようになったら、 有った方がいいんだろうけど、 駐車場も高いしなあ… なんて考えてると、 「お花屋さんで車乗るから、 車、有った方がいいって想ってるんでしょ。 買ったらいいのに。 のんちゃんと海翔くんと二人居たら、 車の方がラクよ? 実家に帰ったりするのにも。」 って、すぐに解っちゃうんだから。 「澪ちゃん、 解りやすいね。 考えてることがすぐに解っちゃう。 だから、 遙人とは逢わずに別れちゃったんだね… まだ、大好きって顔してたもの。 あの頃。 今は… でも、 すっかりってわけでもなさそうね。 ま、 仕方ないか。 のんちゃんの父親なんだから。」 希の父親。 そうなの。 希を産まない選択はできなかった。 最初からそんなのは無かった。 だから、 別れたんだ。 要らないって言われるのが怖くて。 今時シングルマザーなんて珍しくないし、 今までだって海翔を一人で… 実家だけど、 育ててきたんだから、 できないとは想わなかった。 海翔と離れて、 洋子さんに世話になって、 いろんな人に助けられながら、 今まで暮らせたんだ… 今度は私がちゃんとする番。 でも、それが、 私にお金を使うことだなんて、 結びつかないんだけど。
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