第6話

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「いいんですよ? どうせ日付が変わるぐらいまで、 スタッフはみんな残ってるんですし、 洋子さんのお友達なら、なおさら、 お近づきになりたいです。」 サロンのオーナーだと紹介された彩香さん。 大人の色気漂う、 いい香りのする、 スッキリ美人。 「あ、の… 私、来たことないんです。 こんな素敵なサロン…」 どうしていいのか解らない。 「そうねえ イメチェン、しちゃって? できる女、 カツ、可愛らしくて、 つい構いたくなるような… 澪ちゃんなら、それで行けるわよ。」 洋子さん… ヒトゴトだと思って… 「イメージにぴったりですね? それでよろしいですか?」 「はい。 お願いします…」 まな板の上の鯉 そんな感じか。 ここまで来たら、 あれこれ考えるなんてできない。 やっぱり私は女なんだ… キレイになれると聞くと、 なんだか嬉しくて。 誰かに見てもらいたい訳じゃない。 なんて… 自分に言い訳をしてるけど、 浮かぶのは… 遙人の顔。 心の中でだけ、 想い描く、 遙人との日々。 時刻はもう8時。 帰る頃にはもう希は眠ってると思う。 きっとソファーを独占して。 ほかのお客さんが居ない時間でよかった… なんて考えてた。
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