第6話

15/40
前へ
/40ページ
次へ
できあがった私はまるで別人。 伸びきった髪の毛をふわふわと動きのあるショートに、 メイク術もメイクさんが施してくれてるのを見ながら習って。 ツヤツヤの肌と、 若返った自分。 鏡に見惚れてしまった… 「うわー、澪ちゃん。 違う人みたい! さすがですね? 彩香さん。」 そう! その言葉がぴったり。 彩香さんがすごいの。 「日焼けで真っ赤になった洋子さんの肌に比べたら、 なんでもないですよ。 素材が素晴らしいから、 一度の施術で、 こんなにピカピカ。 素敵でしょう?」 そんなお世辞を言われて、 でも、 気持ちがいいものだ。 女って… つくずく、 誉められるのに弱い生き物だと、 実感。 「すみませんね。 いつもガビガビになった肌で来て。 でも、ここの所、 南の方に行ってないから。 肌の調子もいいのよ?」 そうだ。 洋子さんは希の面倒を見てくれるようになってから、 ご主人と一緒に出掛けてない。 「あ、  希、寝ちゃいました?」 「うん。 もうとっくに。 どうだった? 気持ちよかったでしょ?」 気持ちよかった… また、来たい。 癖になっちゃうんだね… こういうの… 「はい、とっても。」 満足そうな洋子さんと彩香さん。 そんな顔を見ることも、 なんか嬉しい。 そうか… こんな笑顔が見たかったんだ。 私があの仕事をしたい訳は…
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加