第6話

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「あれ? どうしたの? 出てきて? ほらほら…」 手を引っ張っぱられてリビングに出ると、 本に目を落としてた前田さんが私をみる。 「あれ? スカート、 始めてみたのかな… すごく似合ってる。」 こんな風に話す人だったのかな… なんか始めてかもしれない。 でも、 ちょっと嬉しいかな… 「ありがとうございます…」 洋子さんは私を玄関にある姿見の前まで連れて行き、 「ほら。 すごく似合ってる。 こういう方が似合うのよ。 澪ちゃんは…」 そう言いながら、私のウエストを触る。 「ちょっと痩せたんじゃない? ちゃんと食べなきゃダメよ? 胸だって、 今はお乳あげてるから何とか維持してるけど、 卒乳したらすぐに引力の餌食だからね? 元々大きいんだから、胸。 タンパク質よ。 肉。 ちゃんと食べてる?」 肉かァ… 食べてないかも。 離乳食を作るついでに、 同じ食材で何となく作ってるから… 「うちさ、 今日焼き肉だから、一緒に食べない? チャプチェしようと思って春雨戻してるからさ、 それでのんちゃんのごはん作っちゃおうよ。 さあ、着替えて着替えて?」 そうやって私を甘やかせる洋子さん。 でも、 嬉しい。 友達とはほとんど会わない。 ときどき電話がかかってくるぐらいで、 会うことはしてない。 希が居るって言うのもあるけど、 なんか、この状態を説明するのが億劫なんだ…
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