第6話

21/40
前へ
/40ページ
次へ
「澪ちゃんも飲むだろ?」 私にビールを付きだして、 前田さんが言う。 「キライじゃないんですけど、 まだ希が母乳、飲んでますので… 飲めないんです。」 「そうよ。 澪ちゃんが口にしたもの、すべてのんちゃんの体の中に入るの。 それに、味も。 アルコールを取ると苦いらしいし、 たばこを吸うと、 有害なものがお乳に含まれるって。 だから、 妊娠期間だけじゃなくて、 お乳をあげてるときもお母さんは気をつけなきゃいけないのよ?」 「フーン… 大変なんだね。 お母さんって。 じゃあ、いっぱい食べたらいい。 希のために栄養をいっぱい取って、 もうちょっと大きくなったら希と一緒に焼き肉食べよう。」 希はよく食べる。 もしかしたら男の子より食べるかもしれない。 海翔の時と比べても、 同じくらいか、希の方が食べてるような… さっきだって春雨に人参とささみをすりつぶしたものを混ぜて、 お出汁で薄く味付けをしたものを、 口に運んだフォークを待ちきれずに手づかみで食べてたし。 食べないっていう心配をしなくていいのが、 すごく楽。 子供が居ると、 子供中心になっちゃう。 だけど、 この夫婦は一緒に育ててくれてるから、 本当に助かってる。 「本、先に出してみるのはどうかな。」 前田さんが少し酔ってるのか、 気分良さそうにそう言う。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加