第6話

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お洋服のお礼もそこそこに、 部屋に帰った。 希は眠っちゃったし、 作品の整理だってしなきゃならないから。 本なんて簡単に言うけど… こんな誰も知らない人間の本なんて、 出してくれるような出版社、在るのかなあ… 前田さんは紹介してくれるって言ってくれたけど、 そんな簡単じゃないはず。 今まではドラマの数字が良くて、 ノベライズと言う形で何度かあったけど、 それはドラマの名前があったから。 在庫の山なんて、 立ち直れそうにないし、 そんなのは、私には無理… いや。ダメだ。 考えすぎないようにしなきゃ。 もし、 どこもダメだったら、 その手もあるくらいの感じで居よう。 どこにでも飛び込みで入っていける勇気は持ってるはずだ。 なんか、 臆病になってる自分が居て、 それだけ歳をとったのか… なんて、 歳のせいにしてみる。 さあ、仕事。 これからが、 私の時間。 ひと通りの概要をプリントして目を通す。 集中出来ない。 そして、私は… あのお洋服を取り出して、着てみる。 洋子さんが、 「このベルトが合うと思うわ。」 そう言って自分の持ってるアクセサリーなんかも貸してくれた。 私、 こういうことに気を使ったことないなあ… 結婚前はパンツスーツで走り回ってて、 結婚してからも自分になんて構ってなかったから。
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