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「遙人。
去年のドラマ、
《うつくしのブルー》
コスモシアン賞らしいぞ?
まあ、作品に対してだけど、今年は賞取りラッシュかもな。
もしかしたら授賞式に出るかもしれないから、
そのつもりで居ておいてくれ。」
事務所に顔を出すと、
社長がそう言った。
機嫌がいい。
賞という言葉は大好物らしい。
マンスリーでノミネートされてるとは聞いていたけど、
昨年の作品のことだ、
どうも、ピンとこない。
演技をしたと言うより、
何かを求めてたと言う感じだったろうか。
映画と違って、スペシャルドラマと言う枠の講評はなかなか届いてこない。
だけど、
あれは違ってた。
あの作品から急に仕事が増えたんだ。
切ない苦しい感じが、
実によく表現できてると…
皮肉なもんだな…
演技でもなんでもない。
あれはあのときの俺の心の中。
苦しい思いを抱えて、
とても仕事など手に着かないほど、
ぼろぼろで…
それでも、
彼女が俺の仕事を見てくれたらと想って…
心からの叫びのような作品だった。
今となっては、
想い出したくないほど、
苦しい作品だ…
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